ポリイミド用機能性分散体

ポリイミドは、機械的・熱的・化学的に優れた特性を有する熱硬化樹脂ですが、硬化温度が350~500℃と高温であるため、その熱に耐えられる分散体はとても限られています。さらに、ポリイミドのモノマーは反応性を有するため、前駆体の安定性が低く、ポリイミド中へのフィラー分散は困難であることが知られています。

トーヨーカラーでは、長年培ってきた独自の分散技術を活かし、カーボンブラックや各種機能性フィラーを分散し、導電性・絶縁性・各種機能性を付与するポリイミド樹脂用機能性分散体を開発しました。
なお溶剤には、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)やジメチルアセトアミド(DMAc)をはじめ、いくつかの溶剤の選定が可能です。

ポリイミド用導電ブラック分散体

トーヨーカラーでは、ポリイミド樹脂への帯電防止、半導電性付与向けにバインダーレス分散技術を利用した種々の導電性フィラーの分散体を提案しています。
導電性フィラーとしては、カーボンブラックなどを用いており、溶剤種や濃度などの変更・調整が可能です。用途としては、OA機器の部品である中間転写ベルトや定着ベルトなどが挙げられます。独自の均一分散により、フィラー添加量による導電性の急激な変化も抑えることができるのも特長です。

バインダーレス分散とは

トーヨーカラーは、長年培ってきた分散技術を発展させ、バインダー樹脂を用いることなく、フィラーを表面処理剤単独で分散させる方法(バインダーレス分散)を開発しました。 バインダーレス分散では、電荷を有する特殊な処理剤で顔料を処理することにより、顔料の表面電荷をコントロー ルし、その表面電荷の反発によって分散安定化を図ります。

分散剤量の最小化により、とくに導電性フィラーを分散した際の、ポリマー成分含有による導電性の悪化を抑制できる点で優位に働きます。バインダーレス分散体は、高い導電性や多くの樹脂への適合性の高さから、さまざまな樹脂への展開が可能です。とくにポリイミドなど、モノマーが反応性を有することでフィラー分散が困難な樹脂への利用を推奨します。

特長1:低濃度でも高い帯電防止性能を発揮

カーボンブラックバインダーレス分散体を用いて塗膜化した際の導電性は、ポリマー型分散剤を用いた場合と比較して、高い帯電防止性能が得られます。また、塗膜中のカーボンブラック濃度を5%程度抑えることができるので、塗膜の引っ張り強度や曲げ強度を向上させ、樹脂特性の劣化抑制に効果的に働きます。

塗膜中のカーボンブラック濃度に対する表面抵抗値の変化

汎用樹脂を用いて簡易的に塗膜を作成し、表面抵抗値を測定

上記は実測値であり、保証値ではありません。

特長2:高い分散性と表面平滑性

カーボンブラックの粒径分布が単一分散であるため、ポリマー型分散剤を用いた場合と比較して、同等以上の分散が可能です。また、多くの樹脂への適合性も高く、高い表面平滑性(Ra:5nm以下)も実現可能です。

カーボンブラックバインダーレス分散体のカーボン粒度分布

上記は実測値であり、保証値ではありません。

組成例

  カーボンブラック
フィラー ファーネスブラック
溶媒 NMP
フィラー濃度 15~20wt%
粘度(BL型粘度計60rpm) 75mPa・s

記載の組成、測定値は代表値であり、保証値ではありません。

ポリイミド用絶縁ブラック分散体

トーヨーカラーでは、電子部品分野での回路隠蔽用途を目的としたポリイミドの黒色着色向けに、絶縁ブラック分散体の開発を行っています。
通常、黒色着色を行う場合にはカーボンブラックを使用しますが、電子部品用途に要求される絶縁性が低下し、ポリイミドの特性を著しく低下させてしまいます。一方で、そのほかの黒色顔料では隠蔽性が低いため、多量のフィラーを添加しなければなりません。

トーヨーカラーでは、長年培ってきた独自の分散技術を活かし、カーボンブラックの隠蔽性を保持したまま絶縁性も向上させた絶縁ブラック分散体を開発しました。
溶剤としては、主にN-メチル-2-ピロリドン(NMP)もしくはジメチルアセトアミド(DMAc)、もしくはその他溶剤の選定が可能です。

特長1:高い絶縁性

カーボンブラック単独の分散体に比べ、絶縁ブラック分散体(新規開発品)を用いることで、絶縁領域での隠蔽性を大きく向上させることができます。 また、一般的な絶縁フィラーを単独で用いた場合に比べ、塗膜中のフィラー濃度が約1/4の量でも同程度の隠蔽性を得られるため、薄膜化が可能です。

絶縁性の比較(表面抵抗値を代用指標とする)

Dry膜厚:12.5μm(ハーフミル)ポリイミドを用いて簡易的に塗膜化

上記は実測値であり、保証値ではありません。

特長2:高い隠蔽性・遮光性

カーボンブラック単独の分散体に比べ、絶縁ブラック分散体(新規開発品)を 用いることで、絶縁領域での隠蔽性を大きく向上させることができます(右図)。 また、一般的な絶縁フィラーを単独で用いた場合に比べ、塗膜中のフィラー濃度が約1/4の量でも同程度の隠蔽性を得られるため、薄膜化が可能です。

ポリイミド用機能性フィラー高透明分散体

トーヨーカラーでは、透明ポリイミド樹脂向けに、各種機能性無機フィラー(無機酸化物)の分散体を開発しています。
独自の表面処理、分散技術でフィラーを高分散、微細化しているため、透明ポリイミドへ混合しても透明性を維持することができます。通常、溶剤としては、主にN-メチル-2-ピロリドン(NMP)もしくはジメチルアセトアミド(DMAc)、もしくはその他溶剤の選定が可能です。

無機酸化物の種類とその機能例

無機酸化物種 機能
ZrO2,TiO2 屈折率調整
ATO,ITO,PTO 帯電防止性
SiO2,Al2O3,ZrO2 ハードコート性
SiO2,Al2O3 熱膨張性制御

記載のない無機酸化物種にも対応可能です。

特長1:微細な粒度分布

独自の分散技術により、従来よりも微細な粒度分布を実現しています。

ZrO2分散体の粒度分布

ZrO2一次粒子径=20~30nm

上記は実測値であり、保証値ではありません。

特長2:塗膜の透明性

フィラーが高分散されているため、厚膜やフィラー高充填時においても高透明化が達成できます。

無機酸化物種 Al2O3 ZrO2 PTO
グレード 開発品① 従来品② 開発品③ 従来品④ 開発品⑤ 従来品⑥
全光線透過率(%) 100 100 98.9 96.58 98.2 97.4
ヘイズ(%) 0.0 0.8 0.15 8.14 0.05 2.41
塗膜外観

塗膜条件:膜厚10μm,塗膜中のフィラー濃度:50wt%

全光線透過率およびヘイズは、ワニス+ガラス板を基準として測定。

上記は実測値であり、保証値ではありません。

お問い合わせ

トーヨーカラー株式会社
機能材料営業部
TEL : 03-3272-0956